クリニックを開業するにあたって、先生方には『経営者』の立場も担っていただくことになります。その際に多く寄せられるお悩みが、人事・採用の問題です。ほとんどの先生方がこれまでご経験のなかった分野であり、何をすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、採用活動におけるポイントについて解説します。
この記事のポイント
この記事では、クリニックの開業時における採用活動について、フェーズごとにポイントをかいつまんで解説します。
いつ頃から採用活動をするべき?
『雇用開始日』を起点に逆算して、求人掲載や面接等の時期を設定します。そのため、開業の4か月前頃から活動を開始すると無理なく進められるかと思います。なお、『雇用開始日』は、『研修開始日(≒初出勤日)』に合わせて設定することがほとんどですので、『開院日』とは異なる点に注意が必要です。
※オープンまでのサンプルスケジュール
どの職種を何人ぐらい雇う?
オープニングスタッフの構成としては、『看護師2名、受付事務員2名』の計4名体制が一般的です。午前、午後のどちらの診療時間帯も2名ずつ勤務することが理想ですが、開業直後の患者数の少ない期間は、パートタイム職員なども起用し、『午前のみ2名体制、午後からは1名体制』という形でも運営可能です。また、診療科に応じて、理学療法士や臨床心理士等の専門職を雇用することを検討します。
どこで募集する?
最も有名な媒体としては、ハローワークが挙げられます。ですが、近年はハローワーク経由の応募数よりも、民間の求人サイトからの応募が多くなってきている印象です。その他、新聞折込やポスティングといった求人チラシを活用する手法も選択肢となりますが、募集チャネルを広く・複数持つことが肝要です。
書類選考 / 面接のポイントは?
クリニック勤務では各スタッフに求められる働きや業務範囲が病院勤務とは異なってくるため、そのことに理解がある人材かどうかを確認することがポイントの一つです。そのためには、まずは書類選考時に、『クリニックでの勤務経験の有無』を確認すると良いでしょう。面接時には応対を見て、コミュニケーション能力や接遇能力を確認します。また、その際には先生を含めた他のスタッフと協調して業務ができる人柄かどうかを確認しましょう。
※注意点:書類選考や面接時には、不要なトラブルを避けるために社会保険労務士の同席をお勧めします。
配偶者は現場業務に出るべき?
配偶者の方が医療従事者である先生方も多く、よくいただくご質問なのですが、基本的には現場業務に出ないことをお勧めします。専従者給与の対象になったり、人件費削減になったりのメリットもありますが、『院長親族』として対応されるがために、ご本人とスタッフの双方が気を使い、労使トラブルの種になりやすいというのが理由です。「それでもクリニックの力になりたい!」とお考えの配偶者の方は、給与計算や税務処理等のバックオフィス業務でご協力いただければと思います。
まとめ
どの業界でも人手不足が叫ばれる昨今であり、医療業界も同様な状況です。しかしながら、スタッフの評判はそのままクリニックの評判に繋がりますし、円滑な診療を行うためにも適切な人材採用・配置が肝要となります。当社では、採用活動に関するアドバイス、サポート等も行っておりますので、ご入用の場合にはお気軽にお問い合わせくださいませ。